植野が斬る!

私とアルスコンサルタンツ

1.はじめに

私の出身は栃木県小山市、地元の中学・高校と進み、大学は2浪して東洋大学工学部土木工学科へ。しかし、本来は、医学部志望だった。これが、挫折経歴の第一歩である。
ここで、面白かったのは、大学へ入ると、結構、歳を食っている連中が居て、ほとんどが東大崩れであった。親近感を感じたとともに味のある連中であった。
中学・高校は剣道部、大学時代は体育会少林寺拳法部に所属。勉強はしなかった。趣味は、兵法研究、武具収集。(兵法:戦略)(武具:甲冑、刀剣、槍その他)
幼きころ、母親が病弱で父親は北海道に単身赴任中だったために、父方の実家と母方の実家に交代で預けられて育った。軍人だった父方の祖父と商人(かんぴょう問屋)だった母方の叔父叔母に育てられた。父方の方では、縁側で爺さんから兵法の講義(孫子や六韜三略、大学や中庸等)や、図上演習を受けた。さらに、武芸十八般を鍛えられた。「そんなことで、人が斬れるか!」とよく竹刀で腰をたたかれたのが思い出される。(今思えば、異常な世界)母方では、「かんぴょう」は、1晩で何億と相場が動くんだ」と聞いて育った。これが私の原点である。

2.職歴(キャリア)から

職歴は、橋梁メーカー⇒水門メーカー⇒コンサルタント(㈱長大)⇒国土交通省の研究機関⇒韓国PFI事業⇒国の研究機関⇒検査会社+社団法人役員+外資系コンサル顧問+中央政治大学院⇒富山市⇒現在に至る。仕事人生の中で、橋梁の全ての分野を経験してきた。これが私のキャリア形成であった。この経験の中での、皆さんに役立つだろう失敗談などは次回以降で触れたい。

3.私とアルスコンサルタンツ

まず、そんな私とアルスコンサルタンツの出会いは、まあ、一言で言えば“御縁”である。初めてアルスコンサルタンツを知ったのは、長大時代である。北陸担当営業とアルスコンサルタンツに居た斎川さんの仲が良かったからである。当時、私は長大の事業推進本部において部下のいない部長で、苦情処理と特殊業務を担当していた。本省や土研、大学を回っていたが、業務のしりぬぐい(謝罪)なども行っていた。大深さんとも、良く金沢工大の木村研究室でお会いした。木村は大学時代の後輩にあたる。

アルスは、印象的には「真面目な会社だな」であった。斎川さんからは、アルスに足りないものとして中央の情報や考え方を、時々社員にも教えてほしい、というものであった。当時私は、「霞が関のキャリアに一番近い人間」と言われていた。財団法人国土開発技術研究センター時代に、多くの政策的業務で、本省に入り込んでいた。1日に4回(朝・昼・晩・深夜)出入りし、本省や土木研究所からは「困った時の植野頼み」と言われ、技術的課題から、雑用まで応じていた。当時の相手と会うと「あの時はお世話になりました」という、うれしい言葉をかけてもらえる。しかし、会社の方はと言うと逆に目障りな存在であった。そういうことは、結構どこの組織でも同様であると思うが、これが日本の組織の悪いところである。自分たちができないことをやってくれる人間はありがたく、それを認める度量が上層部に無いと企業は衰退する。

富山市を退官したものの、その後の行き先が定まらなかった。富山市政策参与と言う肩書はもらってはいるが、報酬は心付け程度で、プラス活動実費である「足りない分は自分で稼いでください」とも言われた。政策参与と言うのは顧問のようなモノであり、依頼によって活動を行う。他に有名人では隈研吾氏などが居る。 

どこの企業も正式に採用しようというところはなかった。まあ、私自身が型にはめられるのは、ごめんであるが。  

そんな折、かねてから親交のあった、麻田さんから連絡をいただき、技術顧問にと言う話であったので、私でよいのかとも思ったが、麻田さんの誠実さは感じていたので、お受けすることにした。それに加え、アルスの評判は、知り合いの官庁職員からも評価が高かった。多くの官庁の職員がアルスに対し感じているのは、「誠実さ」である。誠実に仕事を行うということは、コンサルタントに一番必要である。これは、この先、会社の宝である。これさえあれば、他に負けることはない最後に勝つのは誠実さである。昨今の世の中の話題を見てもそれは感じられることであり、素晴らしい社風である。

次回から、私の経験の中からの失敗談などを交えながら、皆さんに考える機会を示していきたいと思うのでよろしくお願いします。

インフラメンテナンス 総合アドバイザー

植野芳彦

PROFILE

東洋大学工学部卒。植野インフラマネジメントオフィス代表、一般社団法人国際建造物保全技術協会理事。
植野氏は、橋梁メーカーや建設コンサルタント、国土開発技術研究センターなどを経て「橋の専門家」として知られ、長年にわたって国内外で橋の建設及び維持管理に携わってこられました。現在でも国立研究開発法人 土木研究所 招聘研究員や国土交通省の各専門委員として活躍されています。
2021年4月より当社の技術顧問として、在籍しております。