
インフラメンテナンスはもう古い!インフラマネジメントへ!
1.はじめに
遅いですが、あけましておめでとうございます!本年もよろしくお願いいたします。
昨年12月1日、国土交通省大臣に、「下水道などに起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」の委員長である政策研究大学院大学家田特別教授から「下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」第3次提言~信頼されるインフラのためのマネジメントの戦略的転換~ が手渡された。
これによって、これまでの単なる長寿命化、予防保全、インフラメンテナンスなどという言葉ではなく、「インフラ・マネジメント」への転換が示されたことになる。これは私自身が長年提唱してきたことであり、まさに我が意を得たりである。
2.マネジメント手法
別に、家田先生が委員長を務める国の「群マネ」。正式名称は「地域インフラ群再生戦略マネジメント」であるが、この手引きが10月に示されており、説明会等が各県主体で実施されている。手引きはVer.1であるが、すでに委員会ではVer.2の検討に入った。
ここでは、特に「ヒトの群マネ」に着目される予定である。ヒトの群マネとは、簡単に言うと、自治体職員が、先進自治体等に悩み事等を相談できる相手を増やそうというものである。さらには、アドバイザーを設定していこうというもの。
私も委員の一人であるのだが、状況を見ていると、どうも少々おかしな具合である。群マネには、正解がない。考え方は自由であり、自分達で考えないことには先に進まない。しかし、どうも皆さん、正解値を求めたがる。さらに安易に他人任せ。
これではだめで、官と民で自分達にあった手法を考えていかなければならない。
それには、各地域地域の状況を理解した地元企業の力が欠かせない。仕組みや手法を考えるのも実際に対応するのも、自治体の職員と民間の受託者が、地元の状況などを見極めながら、十分に協議し事業を進める必要がある。中央の大手ではおそらく無理であろう。役割分担が今までとは違ってくる。
ここを十分に考える必要がある。大手さんは、専門的知識や実績をもとにこれまで仕事を取ってきたが、これからは、地方の理解が必要である。
ここに、これまでのコンサルタントが得意としてきた「一件設計」では解決できない問題が潜んでいる。地元への理解である。これはまさに地方の時代である。さらには、一件一件、設計した時代ではなくなってくる。仮に設計業務が入っていても、総合的にマネジメントして考える必要がある。マネジメントとは単なる設計ではなく、リスクを十分に理解分析した上での構造物一生涯のマネジメントである。これが理解できるかどうかで、おそらく今後の官も民も大きく異なってくる。
まずは官側で、自分達は何をやりたいのか、どうすべきかを考え、十分な協議を継続して、官民一体で作り上げていくのが「群マネ」である。
3.「新技術」の導入法と活用法
もう一つの新たな考え方が新技術の導入である。
しかし、これがうまくいっていない。自治体と民間のギャップが大きな原因である。民間は開発側なので良いと思っているが、使う方はそうではない。抵抗がある。
使ってうまくいかなければ、税金を使っているので問題になる。ここに大きな差がある。
八潮の事故で調査に期待されたドローンであるが、ほとんど使えなかったいう報告がなされている。考えてみれば当たり前なのだが、マスコミ等はやる前から称えていた。
しかし、制限が多い、見たいところに上手く行けない等、当たり前なのだが前評価が高かった分だけ無駄であった。
国土交通省に「新技術ハンズオン支援事業」というのがあり、ドローンの利用でコストが下がったと言われているが、果たしてそうなのかは疑問である。技術はそれぞれ得意な部分とそうでない部分がある。それを上手く見極めて使わないと効果は出ない。
日本人の悪いところは、1つの技術、物に固執してしまうところである。本来の目的や、個々の有効性を忘れてしまう傾向が強い。「ゼロ戦は優秀で世界最強の戦闘機」という考えが、次の開発を遅らせ、結果的に老朽化していった。これと似たようなことがインフラでも起きている。さらには脆弱性までもが。
社会は常に変化し、開発意欲があれば新たなものが出てくる。現存技術でも、活用の仕方によっては新技術的活用が可能である。使う側にも問題がある。
結局、馬鹿と鋏は使いようなのである。だが、これが出来ない。
結局は、新技術は発注者と提案者のミスマッチが原因で使用されない。民間には、実装のために実証の努力を重ね、発注者の理解が進むようにやさしい説明が求められるが、これがなかなか出来ない。
ただここで、、「新技術を使えばコストが下がる」という間違った考え方が蔓延していることは、世の中にとってマイナスである。「良いものは高くても使う」と言う精神も大事なのではないか?目先のコストに縛られ、実際には損をしているのは昔から変わらない。
4.今回のまとめ
「群マネ」の効果によって、様々なことが、変わってくる兆しが見えている。これは直接「群マネ」とは関係なくても良い兆候である。これまで、実態と合っていなかった世の中の仕組みが、変わり始めた。インフラ・マネジメントは待ったなしである。
そしていま求められるのは、多くのインフラを管理している地方自治体をどうするかである。ここで今後新技術の導入にしてもマネジメントにしても、地方のコンサルタントの役割は大きい。実際に中央ではわからないことを、肌で感じ提案できるのも地方である。
マネジメントの時代、大きなところだけが頼りになるとは限らない。
地方の実態を熟知した地方コンサルの重要性がますます増加する。この時に、重大なカギとなるのは、これまでの官庁との付き合い方。
安ければよいと言う時代ではなく、如何に相手に真摯に向き合ってきたかということが、重要である。金儲け主義でやってきたところは心を入れ替えないと危うい。いやもう遅いかもしれない。中央の大手と地方の企業は当然役割も違うはずである。それぞれの役割分担が重要であり、場合によればJVのような形での協力体制が今後カギとなる。それぞれの特性を生かした形にしていく必要がある。
マネジメントは何とかすること。
コンサルタントは、課題解決をする人たち。
インフラメンテナンス 総合アドバイザー
植野芳彦
PROFILE
東洋大学工学部卒。植野インフラマネジメントオフィス代表、一般社団法人国際建造物保全技術協会理事。
植野氏は、橋梁メーカーや建設コンサルタント、国土開発技術研究センターなどを経て「橋の専門家」として知られ、長年にわたって国内外で橋の建設及び維持管理に携わってこられました。現在でも国立研究開発法人 土木研究所 招聘研究員や国土交通省の各専門委員として活躍されています。
2021年4月より当社の技術顧問として、在籍しております。
RECRUITMENT
私たちと一緒に
未来を描いてみませんか?
アルスコンサルタンツの仕事は、未来をつくること。私たちと一緒に、「まち」を支え、「まち」の未来をつくりませんか?
