プロジェクトストーリー

金沢外環状道路山側幹線 道路設計

金沢外環状道路の山側幹線のうち金沢市額谷町から四十万町までの1.1kmの区間にわたり道路詳細設計を行いました。

■金沢市南部 丘陵地の都市計画道路 -切土と盛土の土工バランスを考慮-

金沢外環状道路の山側幹線のうち金沢市額谷町から四十万町までを含む区間は昭和の時代に都市計画決定がなされた都市計画道路でした。これにより道路の平面線形は決定されており、ちょうど金沢市南部の丘陵地を通過する計画でした。都市計画道路でありながら切土などの土工量が多く生じるものとなっており、道路設計にあたっては切土量と盛土量のバランスを取るために許容される縦断勾配のなかで道路の計画高さを上げて切土量を減らし盛土量を増やす計画としました。これにより切土量と盛土量の土工バランを取ることができ残土等の発生を抑制することができました。完成後は、道路高さを上げた計画により、金沢市街地が一望できる道路となりました。

■冬期の安全性を確保 -丘陵地での消雪計画-

都市計画道路として重要路線であり、また比較的急な縦断勾配を採用したことから、金沢市額谷町から四十万町までの区間では冬期の安全性を確保するため消雪装置を設ける計画としました。しかし、丘陵地であることから地下の帯水層が限られていました。そこで、電気探査等の地質調査を実施し推定される帯水層や取水可能量を設定しました。取水可能量は比較的小さかったため取水井戸の数を増やし対応するとともに、お互いの取水井戸が干渉を及ぼし合わないかについても検討し条件を満足することを確認しました。

電気探査による推定地層断面図

■沿線の生活環境を守る -住宅が近接した区間への遮音壁の設置-

金沢市額谷町から四十万町までの道路計画のうち住宅地に近接する区間を含めて「自動車の走行に係る騒音に関する法律」に基づき沿線の自動車騒音の予測評価を行いました。予測騒音値が規制値を超えることとなった区間には遮音壁を設置する計画としました。

住宅が近接した区間への遮音壁の設置

■道路計画用地内に多くの墓地が点在 -墓地管理組合の設立-

金沢市額谷町、四十万町では道路計画用地内に多くの墓地が点在していました。墓地の移転には通常長い期間を要することがありますが、額谷町、四十万町、それぞれの町会では墓地管理組合が設立され、移転先を含め町内で意見の集約がなされるなど、積極的に移転に取り組まれました。これにより墓地の移転が短期間で行われ円滑な道路建設につながりました。

四十万墓苑は当社の公園部門で設計を行いました。墓地の区画数や利用状況などの聞き取りをもとに設計を行い、竣工後は地元の方々に喜んでいただきました。

移転先の四十万墓苑

■地元の道路周辺の利用形態を設計に反映 -地元町会の説明会へ同行-

設計区間の沿線には3つの町会がありました。額谷町会、四十万町会、南四十万町会の3町会です。道路計画の概要が出来上がった段階で石川県から3つの町会へ説明会が開催されました。その説明会へオブザーバーとして当社も参加しました。説明会の開催は3つの町会でそれぞれ2回ずつ行われました。オブザーバーで参加し、当時、現県道で生じていた渋滞や交通事故を無くしてほしいといった、地元の方々のこの道路建設への熱意を感じるとともに、地元の方々ならではの道路周辺の利用形態などを直接お聞きすることができ大変参考になり設計に生かすことができました。