プロジェクトストーリー

山代スマートパーク整備(事業者として参画)

~石川県内初のPark-PFI事業~

当公園は、山代温泉の西の玄関口に位置し、加賀市が進めている「スマートシティー加賀推進計画」に沿ってテクノロジーを体験できる公園をコンセプトに整備した街区公園です。石川県内初となるParl-PFIの事業手法を取り入れ、民間によるカフェ&フラワーショップを整備し、普段の公共事業では不可能な植栽計画や修景整備を行うことができました。各種イベント等も開催し、地域の賑わいを創出するとともに、市内外を問わず多くの方々にその魅力を発信しています。
また、地域の方々や温泉旅行客などの来園者の交流の場、子供たちの憩いの場・教育の場になればいいと願いを込め設計に取り組みました。

弊社は、(株)岸グリーンサービス様を代表団体とする共同事業体「山代プラス」の構成員として参加し、(株)シモアラ様の3社にて、提案書の提出及びプレゼンテーションを実施した結果、「(仮称)山代温泉広場整備事業」の事業者に選定されました。

公園利用者の利便性の向上を図る新たな整備・管理手法であるPark-PFI事業に、計画及び設計者として携わらせていただき、ハード面の計画・設計以外に、ソフト事業の提案もさせていただきました。

地域住民や温泉旅行客を巻き込んだ「民間発想のイベント」を開催

かがやきITルームでは、ドローンのプログラミングやAR(拡張現実)などの最新のテクノロジーが体験でき、通常の公園には設置できない民間事業者が運営するカフェ・フラワーシップが訪れる人々に憩いの時間を提供します。園内には高速Wi-Fiも完備されコワーキングスペースとしても利用されています。

最新のテクノロジーが体験できる「かがやきITルーム」
フラワーショップ&カフェ「hana-no-ya cafe-no-ya」(公募対象公園施設)

公園の修景に関しては、遊びのスタイルを決めない自由な発想や空間のインスピレーションで遊び方を考えられる円形デザインベンチを考え、上ったり、駆けっこしたり、滑ったり、本を読んだりする、全ての子どもたちが遊ぶ権利を得られるような、いわゆるインクルーシブな遊具を考え設置しました。

メインエントランスを挟んで向かい側には、雨になると水たまりになる「雨庭」をつくり、園内に降ってきた雨を一時的に貯めて、ゆっくり雨水を浸透させるグリーンインフラの取り組みを取り入れました。水たまりにピチャピチャ入り、上がるしぶきに歓声を上げる子の声が聞こえてきそうです。子ども達は強い好奇心によって、周囲にあるもの、起こることのすべてに興味を持ちます。この好奇心は大人になるためにとても大切なことです。公園はそんな子ども達の教育の場であるべきだと考えます。

公園全景(左上:滑り台と一体となった円形デザインベンチ、右上:雨が降れば水たまりができる雨庭)

本公園には柵がありません。「危険だ」「子どもが飛び出したらどうする」と地元説明会の時にもそのような意見が多かったです。景観と安全は真逆でしょうか?我々は、両立できると思っています。道路側に築山を設けアンジュレーションをもって道路との結界とし、さらに外周公園敷地内に歩道空間を設け、2重3重の対策をもって安全かつ広がりのある優れた景観の演出が出来ました。以上を踏まえ、山代スマートパークは「第29回いしかわ景観大賞」にて、「景観審議会会長表彰」を受賞いたしました。

柵やフェンスなどの物理的バリアのない公園
取り外しの出来る「日陰だな」